建築の安全性を高めるために。非常時の視点から考える設計
2025年12月に起きたサウナ施設での事故は、建築が人の安全にどのように関わっているのかを改めて考える契機となりました。
亡くなられた方ならびにご親族の皆さまに、心より哀悼の意を表します。
建築の安全性は法令によって基本的に一定程度守られていますが、実際の施設運営の中では、さまざまな条件を踏まえた判断が求められる場面も多くあります。
そこで本記事では、設計や運用、補助金制度の活用などの視点から、建築の安全性をどのようにして高めていくことができるのかを整理していきますのでぜひ最後までご覧ください。
法令遵守を土台に現場に合わせて安全性を高める

建物の安全性を確保するための基盤となるのが、建築基準法をはじめとする各種法令です。
法令は過去の多くの事故や検証を踏まえて整備されてきた共通基準であり、設計者が必ず守るべき条件です。
そのうえで実際の設計では、建築主様のお話を丁寧にお伺いしながら、建物の使われ方や利用者の行動まで踏まえ、安全性がしっかり機能するかどうかを総合的に検証していく姿勢が不可欠です。
法令を満たすことを前提としながらも、実際の運用や現場での判断まで含めて考えることで、建築の安全性はより確かなものになると考えています。
非常時を想定して人を守れる建物にするために

非常時、人は必ずしも設備仕様を冷静に理解して行動できるとは限らず、直感的な判断に大きく影響を受けることも多いです。
そのため、例えば扉の開閉方向や取手の操作性、警報の位置、避難経路の視認性などは安全性を左右する重要な要素だと考えられます。
同時に、これらの設備が非常時に確実に機能するためには、管理者が必要な操作や復旧対応がしやすい配置や、正確な管理方法までを含めた計画も必要です。
例えば、不具合や異常を早い段階で察知しやすいこと、専門的な知識や経験に大きく左右されずに扱える構造であることなどが挙げられるでしょう。
実際の管理人数や体制も踏まえて無理のない方法で運用できることなども大切です。
上記はあくまでも一例ですが、これらが備わっていることで日常の点検や非常時の対応が属人化しにくくなり、建物の安全性をより維持しやすくなると考えられます。
補助金制度を活用して安全性を高める方法も

施設の安全対策や性能向上は、常に最優先で考えられるテーマである一方、限られた予算や複数の課題の中で具体的な手段について悩む場面も少なくありません。
そうした中で、現実的な選択肢の一つとして活用されているのが各種補助金制度です。
多くの補助金制度では、防災性や省エネルギー性、バリアフリー性など、施設の安全性や利用者への配慮に直結する項目が対象とされています。
補助金を検討する過程では、施設がどの安全性能を満たしており、どこに課題が残っているのかを具体的に確認することになります。
つまり、補助金の検討は、単なる資金確保の手段ではなく、建物の安全性や社会的要請への対応状況を客観的に確認するための重要なプロセスでもあるのです。
一方で、補助金に関しては「手続きが大変」「調べる時間がない」などの声があることも事実です。
また、制度の読み解き方や計画への落とし込み方によって、活用の可否や効果の大きさは変わります。
そのため、建物をより良くしたいと考える際には、補助金も含めた選択肢を整理しながら、専門家の視点も取り入れて一度計画を見直してみることが、無理のない計画づくりにつながると考えています。
建物の安全性について気になる方はぜひ一度ご相談ください
建物は美しさや機能性だけでなく、非常時に人を守れるかどうかによってその本質的な価値が問われます。
法令遵守は設計の前提条件であり、そこから先にある「どこまで配慮するか」という設計時の判断もとても大切です。
そして、日々の点検や管理が無理なく行えることで建物の安全性が保たれていきます。
建物を計画するにあたり、「何から手を付ければよいのか分からない」「安全性や省エネ、バリアフリーも含めて、どこまで考えるべきか迷う」と感じる方も少なくありません。
一級建築士事務所のスギウラ・アーキテクツでは、建築の初期段階から計画全体を見据え、課題や優先順位の整理をお手伝いしています。
これまでの経験をもとに、建物の使われ方や運用体制、将来の見通しも踏まえながら、必要となる検討項目や進め方を整理し、最適な方法をご提案いたします。
補助金の活用を含め、新築や改修などについて考え始めた段階でも、整理のための相談先としてお役に立てることがあれば幸いです。
また、ドアの配置やノブの選定など、安全性や操作性も含めて見直したいと感じている方も、お気軽にご相談いただければと思います。
なお、安全性はもちろん、空間の快適性を高める建築にご興味のある方は、ぜひ以下の記事も参考にしてみてください。