春を生き生きと過ごせる!?花粉の悩みを緩和する設計とは?
春と夏の間のような気候になり、日によって空調がなくても過ごしやすい季節がやってきました。
新しいことが始まる時期でもあり、ワクワクした気持ちでいる方も多いかもしれません。
一方で、春になると「花粉症」に悩まされる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
環境省によると花粉症の有病率は10年ごとに10%ずつ増加しているそうです。
そこで、今回は花粉の季節を乗り越えるための対策をお伝えします。
春の悩みを解決する設計のポイントは?一例を紹介!!

花粉を室内に持ち込まない設計
室内で快適に過ごすためには、外出時に付着した花粉を持ち込まないことが大切です。
例えば、オフィスならロッカー室と仕事をする部屋を分けるとよいでしょう。
住宅ならシューズクローゼットや上着をかけるスペースを玄関の近くに作っておくと安心です。
また、コロナの流行をきっかけに、帰宅後すぐに手洗い・うがいができるスペースを玄関に設ける住宅もあるようですね。
花粉を室内に持ち込まない工夫としては、部屋干しができるような設計も挙げられます。
家事の効率を高めるための動線も含めて配置を考えるとよいでしょう。
静電気が起こりにくい床材や壁材
オフィスでも住宅でも、静電気がなるべく起きづらい床材や壁材を選ぶことが大切です。
静電気が発生すると、空気中の花粉が付着し室内に留まりやすくなるためです。
静電気対策ができる床材には以下のような種類があります。
・導電性グレード:導電性の樹脂を使用。地面から電気を逃がす。
・帯電防止性グレード:帯電を防ぐことで静電気の蓄積を阻止する。
病院や一部の工場などでは導電性グレードが、オフィスやパソコンが多くある部屋などでは帯電防止性グレードの床材が用いられます。
近年は床材の種類も豊富です。
例えば、木目調などのおしゃれなデザインの帯電防止グレードの床材も人気が高いです。
美観を損なわずに対策が可能であるため、
「そういえば、静電気が気になるかも?」
という場合には建築事務所へ相談してみてもよいかもしれません。
また、自然素材の壁材の活用も静電気対策になります。
おすすめの壁材は以下のとおりです。
・漆喰や珪藻土:天然素材で湿気を調整する機能がある。
・ビニールクロス(アレルギー対策加工):花粉を吸着する。汚れても掃除がしやすい。
壁材は調湿機能の高さや掃除のしやすさなども重視して選ぶとよいです。
ちなみに、花粉症対策においては家具選びも重要です。
ホコリや花粉がたまりにくく、掃除がしやすいデザインが適しています。
(建築事務所は家具の設計も得意としています。
最適な家具選びのアドバイスや設計(製造まで)もぜひお任せください。)
建物や家具での木材の積極利用
木材を積極的に活用することが花粉症対策の大きな1歩になります。
林野庁は木の植え替えによって花粉を減らそうとしているためです。
具体的な取り組みは以下の通りです。
(ア)花粉症の原因になりうるスギの人工林の伐採・利用と植替え促進
(イ)花粉の量が少ない苗木の供給
(ウ)花粉の飛散抑制に関する技術開発
スギの花粉症は国民の4割が罹患しているともいわれていることから、予防や治療などの対策が強化されています。
近年は木造住宅に加えて、木造の高層ビルの建設事例も増えています。
東京都や横浜市などの街中にも増えているため、見かけたことのある方もいるかもしれません。
ちなみに木材は空間の調湿作用があることがわかっています。
建物に使用することで適切な湿度管理ができ、アレルギー反応を抑える効果が期待できるでしょう。
古来から人や物を守るために重宝されてきたスギについて、代表的な活用事例をここで1つ紹介します。
「スギが正倉院の宝物を守ってきた」って本当?
「正倉院」は8世紀に建設された東大寺の境内にあります。
正倉院の宝物が納められている唐櫃(からびつ)に使われているのはスギです。
スギでできた唐櫃内は、外気による温度や湿度(特に湿度)の変動がとても少ないため劣化防止に役立っています。
スギ製の唐櫃は現在も宝物の保存容器として使用されています。
なお、建物にスギを使用した場合、花粉によるアレルギー反応の心配は基本的にありません。
スギを味方につけて住み心地のよい社会をつくっていけたらと願っています。
いかがでしたでしょうか。
花粉の季節も快適に過ごすための工夫は他にもたくさんあります。
新築はもちろん、改修で対策することも可能です。
「快適に過ごせて、生産性を高められる環境づくりがしたい」などご要望がございましたら、一級建築士事務所スギウラ・アーキテクツまでどうぞお気軽にご相談ください。
次の記事では、春のうちに準備しておくと安心な「夏を涼しく快適に過ごすための工夫」についてお伝えします。