設計前に知っておきたい!ビル・公共施設の計画で欠かせない「測量」とは?
日本では近年、災害対策や老朽化建物の更新、省エネ性能を高める目的などで公共施設やオフィスビルの建て替えが全国的に進んでいます。
設計や施工の前に欠かせないのが「測量」ですが、その費用が思った以上に高くて驚かれる方も少なくありません。
「なぜこんなに高いのか?」「依頼する際の注意点は?」などと疑問に思われることもあるでしょう。
そこで、今回はビルや公共施設を建てる際に必要となる測量の種類や費用の目安、見積もりで注意しておきたいポイントについて解説します。
ビルや公共施設の計画で重要な一歩となる”測量”とその費用の目安とは?

建物を建てる際、まず必要になるのが「測量」です。
敷地の形状や高低差、周辺道路や水路との関係を正確に把握することで、初めて設計がスタートできます。
まず、測量には大きく分けて二つの段階があります。
一つは「現況測量」と呼ばれるもので、敷地の形や高低差、道路や隣地との位置関係などを図面化する作業です。
建物の設計を進めるために必要かつ基本的な資料であり、現況測量の費用は住宅地では10万円〜20万円前後が一般的な目安です。
敷地が広いビルや公共施設の計画では、範囲や条件によって50万円以上になることもあります。
また、広大な敷地や高低差のある土地では、ドローンや3Dレーザーなどを活用した「地形測量」も普及してきました。
敷地全体のより正確なデータを収集できる上に、短期間で効率的に作業を完了させることも可能です。
測量範囲や地形の複雑さにもよりますが、例えば大規模建築物用などの広い土地の場合には費用はおおよそ200万円程度に及ぶこともあります。
もう一つが「確定測量」です。
こちらは隣地所有者や役所の立会いのもとで境界を正式に確定するもので、将来的なトラブル防止や登記のために重要な工程です。
特に公共事業では境界を曖昧にしたまま工事を進めることはできないため確定測量が必須となります。
官有地や水路に面している場合などは手続きが増えるため、30万円〜200万円以上になるケースもあります。
なお、費用は敷地の規模や条件、作業範囲などによって大きく変わります。
ここで紹介している金額はあくまで目安であるため、実際に依頼する際は見積もりをとって確認するようにしましょう。
測量の結果はどのように活用されるのか?

測量で得られたデータは、設計図面のもとになるだけでなくさまざまな工程で活用されます。
現況測量の図面は、建物の配置や高さなどを検討したり、相続税の計算をしたりする際の基礎資料となります。
一方で、確定測量で定めた境界は、登記の際などに必要な法的根拠となります。
現況測量や確定測量で得られたデータは、設計や登記だけでなく、その後の改修や再開発など、次の建築計画にも活用されることもあります。
正確な測量成果は、未来の設計・施工の精度を左右する重要な基礎データといえるでしょう。
測量の見積もりを確認する際の注意点とは?

設計事務所に見積もりを依頼するときは、「どこまでの業務が含まれているのか」を明確に確認することが大切です。
たとえば「測量一式」「設計一式」と書かれているだけでは、資料の作成だけなのか、境界確定や官民立会いまで含むのかなどが分かりづらいためです。
また、地盤調査を誰が手配するのか、施主が別途依頼するのかなどによっても異なる場合があります。
誰がどの部分を担当し、どの段階で費用が発生するのかを、見積書や契約書の段階で確認しておくことが大切です。
事前に整理しておくことで、後から「それは別料金です」といった行き違いを防ぐことができます。
測量から建築までを安心して進めたい方は、計画の初期段階からぜひご相談ください
初期の調査や設計を丁寧に行うことで、設計変更や追加工事のリスクを減らし、結果的に無駄のない建築計画につながります。
「測量は準備作業」と捉えられがちですが、実際には建築の品質とコストを決定づける大切な第一歩です。
測量やそのほか必要な調査、各種申請などの初期費用は、建設費の中でも決して小さくない割合を占めているのです。
建物の規模や敷地の条件によって幅はありますが、この段階での精度が後のコストにも大きく影響します。
また、境界があいまいなまま建設を進めれば、後から隣地とのトラブルに発展することもあります。
建物を建てる前に「測量について、何から相談して良いかわからない」と思われた方こそ、まずは一度ご相談ください。
一級建築士事務所のスギウラ・アーキテクツでは、建築の初期段階から安心して計画を進めていただけるようサポートしています。
早い段階からご相談いただくことで、精度の高い計画づくりを実現することが可能です。
これまでの経験と実績をもとに、敷地条件や計画規模などに応じた最適な調査・設計プロセスをご提案いたします。
なお、これまで手がけてきた建築事例は動画でもご紹介しておりますので、ぜひあわせてご覧ください。