感染症や季節の変化に備える建物とは?換気・空調・間取りから考える室内環境


新学期を迎える時期は、生活リズムが変わり、夏の疲れも残りやすい季節です。

2026年は早くもインフルエンザの流行が始まり、ワクチン接種や睡眠の確保、バランスのとれた食事なども含め、

日々の体調管理が気になる方も多いのではないでしょうか。

近年は猛暑や大雨、花粉など、季節によって私たちを取り巻く環境も大きく変化しています。

こうしたなかで快適に過ごすには、食事や睡眠などの生活習慣だけでなく、長い時間を過ごす空間に目を向けることも大切です。

今回は建築士の視点から、季節の変化に対応しながら、心身ともに過ごしやすい室内環境について考えます。

季節の変化に左右されにくい室内環境をつくる

感染症や気温の変化への対策を考える上で、多くの人が集まるオフィスや施設では、建物側から室内環境を整える視点も欠かせません。

厚生労働省では、一定の用途・規模に該当する建物について、二酸化炭素濃度や湿度、気流など、室内の空気環境に関する基準を設けています。

また、呼吸器感染症の対策では、十分な換気に加え、乾燥しやすい室内では適切な湿度(50〜60%)を保つことも効果的とされています。

しかし、真夏や真冬、悪天候や花粉の日には、窓を開けて換気することが難しい場合もあります。

こうした課題は、換気や空調などの設備だけで解決しようとするのではなく、断熱性能や窓の位置、日射の入り方、間取りまで含めて考えることが大切です。

まず見直したい!室内環境を整える4つのポイント

室内環境は、設備だけでなく建物のさまざまな部分から見直すことができます。

ここからは具体的な方法をご紹介します。

建物の状況や使い方に合わせて、取り入れやすいところから検討してみましょう。

建物の断熱・日射を確認する

エアコンをつけても特定の部屋だけ暑い・寒い場合は、日射や建物の断熱性能を確認することが有効です。

午後に暑くなりやすい部屋では西日、最上階では屋根から伝わる熱が室温上昇の原因となることがあります。

また、冬に窓際の足元が冷える場合は、窓で冷やされた空気が床付近に流れ込んでいる可能性があります。

西日が強い窓に外付けブラインドや庇を設ける、断熱性の高い窓に替える、屋根や外壁に断熱材を追加するなど、気になる場所から改善する方法も有効です。

空調設備を大きくする前に、まず熱が入りやすい・逃げやすい部分を改善することで、冷暖房の負担を抑えることにもつながるでしょう。

給気と排気の流れを整える

感染症対策や室内の快適性を考えるうえでは、換気扇の性能だけでなく、外気を取り入れて室内の空気を排出するまでの流れを整えることが大切です。

給気口を家具などで塞がないことに加え、給気口と排気口の位置や、扉を閉めた状態でも空気が流れる経路が確保されているかなどを確認します。

また、建築当初から部屋の用途や利用人数、間仕切りなどが変わっている場合は、現在の使い方に合わせて見直すことも重要です。

必要に応じて扉にガラリを設けるほか、換気による暑さや寒さを抑えたい場合は、全熱交換器を取り入れる方法もあります。

人の過ごし方に合わせて窓・間取りを変える

室内環境を整えるときは、温度や換気だけでなく、外からの視線や音、自然光の入り方まで考えることも大切です。

例えば、道路や隣接する建物からの視線が気になる場所では、高窓や小窓を設けることで、プライバシーに配慮しながら光や風を取り入れやすくなります。

また、広い空間では、人が集まる場所と静かに過ごせる場所を分けることで、それぞれの過ごし方に合った環境をつくりやすくなります。

壁を増やして完全な個室をつくるだけでなく、腰壁や間仕切り、吸音性のある素材などを組み合わせれば、視線や音を適度に遮ることも可能です。

建物の用途や過ごし方に合わせて窓や間取りを整えることで、プライバシーや自然光にも配慮した、過ごしやすい室内環境につながります。

心身を休められる場所も取り入れてみる

職場や学校などにおける体調管理を支える空間づくりでは、リフレッシュできる居場所を設けることも一つのアイデアです。

例えば、壁やベンチなどに木を取り入れる、窓際に外の緑や空を眺められるスペースを設けるといった方法があります。

腰壁や家具で視線を適度に遮ったり、照明を落ち着いた明るさにしたりすることで、落ち着いて過ごせる場所をつくることもできます。

気分転換に使えるだけでなく、自然な会話や交流が生まれることで、職場では仕事の連携がしやすくなるなど、コミュニケーションを深める場所としても活用できるでしょう。

季節の変化を考えた心身ともに過ごしやすい空間をご提案します

「暑い」「寒い」「空調が効かない」という同じ悩みでも、原因は建物によって異なります。

設備を交換する前に、断熱や日射、空気の流れ、建物の使われ方まで確認することで必要な対策が見えてくることがあります。

既存建物では、予算や緊急性に合わせて必要な部分から改修することも可能です。

また、工事内容によっては、国や自治体の補助制度を利用できる場合もあります。

スギウラ・アーキテクツでは、新築から既存建物の改修まで、建物の状態や使われ方に合わせた方法をご提案しています。

「何から見直せばよいかわからない」という段階でも、どうぞお気軽にご相談ください。