猛暑時代の熱中症対策とは?企業・自治体に求められる休める場所のつくり方
2026年も全国各地で厳しい暑さが続いています。
総務省消防庁によると、2026年7月には、全国の熱中症による救急搬送人員が1週間で1万人を超える週もみられました。
職場の熱中症対策も強化されており、2025年6月には熱中症の重篤化を防ぐための対策が義務化されました。
さらに、2026年3月には厚生労働省が新たなガイドラインを策定しています。
こうしたなか、体調に異変が生じたとき、すぐに暑さから退避して身体を冷やせる場所があるか、あらためて見直す必要があります。
今回は、企業や自治体が見直しておきたい「休める場所」について、今ある施設でできる対策も含めて解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
熱中症対策は休める環境まで考える時代に

厚生労働省によると、2025年の職場における熱中症による死亡・休業4日以上の死傷者数は1,803人となり、2005年の統計開始以降で最多となりました。
こうしたなか、企業には熱中症を予防するだけでなく、異変が起きた際に重症化させないための備えも求められています。
職場の熱中症対策を義務化
2025年6月から、WBGT28度以上または気温31度以上の環境で、継続して1時間以上または1日4時間を超えて行うことが見込まれる作業について、
熱中症の重篤化を防ぐための体制整備や手順作成などが義務化されました。
事業者には、熱中症のおそれがある人を早期に把握する体制を整え、作業からの離脱、身体の冷却、必要に応じた医師の診察や処置などの手順を定め、関係者に周知することが求められています。
対応を速やかに行うためには、手順を整えるだけでなく、実際にどこへ退避し、どこで身体を冷やすのかまで具体的に考えておく必要があります。
現場に合わせた休憩スペースを確保する動きも
2026年3月に厚生労働省が策定したガイドラインでは、作業場所の近くに涼しい休憩場所を確保し、身体を冷やせる設備・物品を備えることなどが示されています。
実際の建設現場では、大型の休憩施設を設置しにくい場所でも、エアコンを備えた小型スペースを活用する事例がみられます。
十分なスペースがない場合でも、対策ができないとは限りません。
既存の空間を活用したり、小規模な設備を取り入れたりするなど、現場の条件に合わせて休める環境を確保することが大切です。
熱中症から人を守る休憩スペースのつくり方

では、実際に休憩スペースを整える際には、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
部屋の有無だけではなく、実際に人が働いている場所や動線から考えることが大切です。
作業場所からすぐに移動できる位置に設ける
工場の一角に空調の効いた休憩室があっても、製造ラインや荷さばき場などから離れていれば、体調が悪くなった人にとって移動そのものが負担になることがあります。
特に広い工場や倉庫、複数棟のある事業所では、普段の作業場所から休憩スペースまでの距離や移動経路を見ておく必要があります。
場合によっては、大きな休憩室を一か所設けるより、作業場所の近くに小規模な退避スペースを設けた方が、速やかに利用できることもあります。
冷却・安静・救護までできる環境を整える
厚生労働省のガイドラインでは、身体を冷やせる設備・物品に加え、足を伸ばして横になれる広さを確保することなどが示されています。
体調不良者を介助しながら移動できるか、必要な場合に建物の外まで無理なく搬送できるかも確認しておくとよいでしょう。
実際に「作業場所→休憩スペース→建物の出入口」まで歩いてみると、距離や段差、通路の狭さなど、救護時の課題を見つけやすくなります。
今ある施設を活かして休憩スペースを整えるポイント

熱中症対策というと、新しい休憩施設や設備の導入を考えがちですが、まずは今ある建物でできることを整理することも大切です。
既存の空間の使い方を見直す
企業では、既存の会議室や多目的室を、暑さからの一時的な退避場所として活用できる場合があります。
室温が上がりやすい部屋でも、日射対策や断熱、空調設備の見直しなど、必要な改修によって休める環境を整えることが可能です。
自治体でも、公民館や図書館などの既存施設が「クーリングシェルター(指定暑熱避難施設)」として活用されることがあります。
新たな施設をつくるだけでなく、今ある建物に必要な改修を加えながら活かすことも、熱中症対策の選択肢になります。
作業場所から休憩スペースまでの環境も見直す
休憩スペースが涼しくても、そこまでの移動経路が暑ければ、体調不良者の負担になることがあります。
例えば、屋外の動線に庇や日よけを設けて直射日光を遮ったり、熱がこもりやすい場所では通風を改善したりする方法があります。
休憩スペースだけでなく、そこへ至る動線まで含めて整えることで、より安全に退避できる環境づくりにつながります。
安全を守る「休める場所」づくりをご提案します
熱中症対策は、新しい施設をつくるだけが選択肢ではありません。
今ある建物を見直すことで、既存施設を活かしながら改善できる場合もあります。
スギウラ・アーキテクツでは、動線や日射、空調などを確認し、既存施設を活かした対策や必要な改修をご提案します。
「今の休憩室で十分なのか」「どこを改善すればよいのか」など、判断に迷われた際はどうぞお気軽にご相談ください。