世界共通の「1.5℃目標」時代に、建物の価値をどう高めるか?


今の時代、建物の在り方はエネルギーコストや事業継続性、さらには企業価値にも直結する重要な要素です

その根底には、国際社会が共有する「産業革命前からの気温上昇を1.5℃に抑える」という1.5℃目標があります。

気候変動対策が社会全体の課題となる中、建築分野は長期にわたり膨大なエネルギーを消費する存在として、大きな影響を与えています。

日本においても、ZEB Readyの義務化など、制度改革が現実のものとして進んでいるのが現状です。

そこで、本記事では1.5℃目標が建築分野に何を求めているのか、また環境性能を高める設計が快適性やBCP、資産価値の向上などにどのようにつながるのかを分かりやすくご紹介します。

世界が目指す「1.5℃目標」とは?

国際社会が人類共通の緊急課題として掲げる「1.5℃目標」は、パリ協定で2015年に定められたものです。

1.5℃というラインを超えてしまうと、異常気象の激化や長期的な生態系への深刻な影響が避けられなくなるとされています。

目標達成には「2030年までに世界全体のCO₂排出量を2010年比で約45%削減する」という極めて厳しいスピード感が求められているのが現状です。

建築分野は建設、運用、解体において排出するCO2の量が多く、1.5℃目標達成における変革の当事者として位置づけられています。

技術力が実現する「快適性と低負荷の両立」

1.5℃目標の達成に向けた環境性能の向上は、必ずしも我慢や不便を伴うものではありません。

実際に建築設計の現場では、「環境への配慮」と「利用者の快適性」を同時に成立させることを目指しています。

例えば、建物の向きや窓の配置、断熱性能、日射遮蔽といった建築的な工夫によって室内環境を整えることで、冷暖房負荷を抑えながら快適性とエネルギー効率を高めることができます。

また、環境負荷は建物の運用時だけでなく、建材の製造から更新・廃棄までを含めたライフサイクル全体で考えることも大切です。

さらに、新築に限らず、既存建築物の性能を段階的に高めていく改修も、環境負荷やコストを抑えながら建物を社会の資産として次の世代へ引き継ぐための、現実的で費用対効果の高い選択肢だといえるでしょう。

積極的な脱炭素化は企業を守る力に。補助金活用も

環境性能の向上や災害対策は初期投資が大きいと敬遠されがちですが、実は事業継続性(BCP)を高めるうえでも重要な取り組みです。

自然の力を生かした設計では日常の快適性そのものが非常時の強さにつながります。

例えば、自然光を適度に取り入れることで停電時でも明るさを保ちやすく、風通しの良さに配慮すれば空調が止まっても室内に熱がこもりにくくなります。

こうした「日常の心地よさ」が、災害時に人の安全や建物の機能を支える力になるのです。

なお、太陽光設備や高効率設備の導入、環境に配慮した新築や改修などに対しては補助金制度が用意されています。

内容は時期や地域によって異なりますが、設計段階から検討することで建築計画と合わせた現実的な活用が可能です。

補助金の活用も視野に入れることで、経済的な負担を抑えながら環境と企業価値の向上を両立することができます。

脱炭素化により企業や建物の長期的価値を高めたい方はご相談ください

国際的な「1.5℃目標」は環境対策の数値目標にとどまらず、建物の設計や運用における意思決定の質が問われる指標でもあります。

建築は完成した瞬間に終わるものではなく、その後の数十年にわたりエネルギー消費や利用環境、企業活動に影響を与え続けます。

なお、環境性能を高める設計は、CO₂削減だけを目的とするものではなく経営リスクを抑える取り組みだと捉えられているのが現状です。

新築に限らず、既存建築の改修や補助金制度の活用により、環境性能と経済性を両立することは可能です。

建物を単なるコストではなく、長期的な価値を生み出す基盤として捉え直すことが、これからの持続可能な経営に欠かせません。

1.5℃下げる目標をきっかけに建物のあり方を見直したいとお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。

なお、これまで手がけてきた建築事例は動画でもご紹介しておりますのであわせてご覧ください。