食べられる安心建材とは?素材からエコ。設計の未来を考える
建物をつくるとき、機能やデザインなどと並んで重要になるのが「素材」です。
「どんな素材で、どんな考え方で建物をつくるのか」には、
建築士の価値観や技術力が問われるといっても過言ではありません。
またお子さんがおられる空間は「安全」「エコ」も当然素材には気になる点です。
そこで、この記事では「食べられる建材」というちょっとユニークな話題を入り口に、
弊社の視点で建材の現在や未来についてお伝えします。
「食べられる建材」の実用化は着実に進んでいるため、建物の今後の在り方を知る手がかりとしてもどうか最後までご覧ください。
話題の「食べられる建材」とは?

建築業界でも注目されている食べられる建材について、内容を深掘りしていきます。
そもそも、なぜ“食べられる”ことに価値があるのか
結論を先にお伝えすると、サステナブルな建築の実現につながる可能性があるためです。
“食べられる”ということは「人が口にできるほど安全な素材でできている」「最終的に自然に還る」ことを示しています。
「食べられる建材」という響きに驚かれる方も多いかもしれませんが、
近年は廃棄物を出さない循環型社会の実現に向けて世界中で注目が集まっている分野の一つです。
背景には建設業界が排出する大量の廃棄物があります。
たとえば、日本での建設副産物の年間排出量は約7,000万トン以上とされており、
国内全産業の産業廃棄物の約20%を占めているといわれています。
こうした現状を踏まえ、分解可能で土に還る建材は廃棄物の発生そのものを抑える手段として期待されています。
使われている素材例:きのこ、海藻、米ぬかなど
建材としてすでに実用化が進んでいる食材はさまざまです。
例えば、きのこの菌糸体(Mycelium)を活用した建材が先進的な事例として知られています。
菌糸体は成長速度が木材よりも格段に早い上に、高い断熱性や防音性を備えています。
成形がしやすく形状の自由度が高い点も魅力です。
ほかにも、海藻由来の繊維や、米ぬかなどを用いた建材などがあります。
また、コーヒーのかすや玉ねぎの皮など、従来であればすぐに排気されてしまう食材にも注目が集まっています。
コンクリート以上の曲げ強度を実現できたり、「非常時などに食べられる」という新たな発想が生まれたりと、
我々建築士も建材に関する研究からは目が離せません。
こうした新素材はやはり安全性が高く、環境負荷の低減にしっかり貢献しています。
素材の選択が廃棄物削減だけでなく建築の在り方そのものに影響を与える時代が来ているのを感じています。
環境配慮と創造性の両立はより”当たり前”に

環境への配慮は、いまや建築に求められる基本条件の一つです。
意匠性や機能性に関する希望条件を叶えながら実現することが求められます。
弊社も自然素材の活用や再利用可能な建材の導入も視野に入れ、
環境負荷を抑えながらも美しく機能的な空間づくりに日々努めています。
奇抜に思える素材も課題や制約を正しく理解しながら採り入れることで、地域や用途に合ったかたちでの実用化も進むでしょう。
話題性だけで終わらせず、現実に役立つ形に落とし込んでいくことにこそ設計の真価が問われていると感じます。
建物のコンセプトや建築主様のご意向に沿いながら、設計の新たな可能性を一層追求していきたいと考えています。
先進性や貢献性を備えた設計も
株式会社スギウラ・アーキテクツへ
建材の選定は建物の品質だけでなく、将来の環境負荷やリサイクルの観点からも重要です。
行政施設や公共建築をはじめ、環境基準が求められる場面ではこうした素材選定の視点がますます重視されるようになっています。
株式会社スギウラ・アーキテクツは、設計はもちろんご希望を叶えるための素材選びもしっかり伴走します。
都内はもちろん、全国よりご依頼を承っています。
サステナブルな未来に向けた建築をご検討の際は、どうぞお気軽にご相談ください。